大人の歯列矯正!通う矯正歯科はどう選んだらいい?

歯並び、気になりますよね?

でもいざ歯列矯正をしようと思っても、子どもが通っているような矯正歯科でいいのか、それとも大人の歯列矯正を専門的に行っている矯正歯科がいいのか、判断に悩みますね。

成人してから始める歯列矯正は、単純に歯並びを直せば済むというわけではありません、歯茎が下がっていたり、歯周病だったり、被せ物があったりと総合的な治療が必要になってくることが多いのです。矯正歯科で歯並びだけは整えたけれど、矯正の過程で虫歯や歯茎の下がりなどが起きてしまったり、そのうえ歯医者を紹介してもらえず自分で探さなければいけない羽目になることも�

それに、歯茎のコンディションによっては全ての歯を矯正するのではなく、前歯のみ矯正するに留めたほうがいいケースもあります。患者ひとりひとりの歯や歯茎の状態に合った選択肢を与えてくれる矯正歯科を選ぶとよいでしょう。歯並び、気になりますよね?

1.矯正歯科はどう選ぶ?

矯正しているあいだの見た目にも配慮してくれる

笑ったときに矯正器具が目立ってしまうのは誰でも嫌ですよね。見てもわかりにくいように歯の裏側に矯正器具をつけたり、目立たない色のものを提案してくれたり、歯の状態だけでなく見た目にも配慮してくれる歯科を選ぶのがおすすめです。その人の歯の状態によってはできない場合がありますが、少なくとも選択肢をいくつかと自分に合った方法を提示してくれたら安心できますよね。

虫歯や歯周病について調べてくれる

程度に差はありますが30代以上のおよそ80パーセントは歯周病に罹っているといわれています。矯正器具をつける前に歯周病を治しておかないと、治療中やその後に歯周病が悪化してしまうおそれがあります。歯周病に罹っているか調べてくれたり、歯周病の治療をしてくれる歯科を紹介してくれるような矯正歯科が安心です。

全体のみならず部分的な矯正治療もしてくれる

矯正によって噛み合わせを変えると、ものが噛みにくくなったり、顎関節症になってしまうことがあります。奥歯の噛み合わせに問題がない場合は、前歯にのみ矯正器具をつけてくれる歯科を選ぶとよいでしょう。

虫歯の対処や矯正を終えたあとの治療もしてくれる

矯正しているあいだに虫歯が見つかった時、矯正歯科で治療してくれたら楽ですね。それが不可能な場合は、きちんと他の歯科を紹介してくれる矯正歯科を選ぶのがおすすめです。他にも、「歯並びが整ったら終わり」ではなく、その後のケアやフォローがあるかどうかも矯正歯科選びの大きなポイントです。

2.矯正歯科に来たらまず何を聞くか

矯正治療の期間はどれくらいかかる?

成人の場合は2年から3年という期間をかけて歯並びを整えていきます。ただし、その人によって差があるので、自分はどれくらいかかるのか、おおむねの期間を確認しておきましょう。

費用はどれくらい?

歯列矯正は保険適用外になりますので、どの矯正歯科に通うかによってかかる費用が変わってきます。
主にかかる費用がこちら。

基本料金

60~150万円(治療法によって変わる)

処置料

5千円~1万円程度

検査代

2万~3万円程度

気をつけたいのが処置料。基本料金にこの処置料が含まれているのか、それとも別なのかでトータルの費用が変わってきますので、まず確認しておきたいところ。

どんな治療をするか

目立たないように透明なブラケットを使ったり、裏側矯正、部分矯正、マウスピース矯正など、どの治療法を選ぶかでかかる期間や費用が変わります。自分にどの方法が合っているのか確認しておきましょう。

別の歯医者を紹介してもらえるか

歯周病や抜歯などのときに矯正歯科では行えない場合がありますので、そういったときに信頼できる別の歯科を紹介してもらえるか、してもらえるならそれがどこの病院なのか確認しておく必要があります。

矯正治療中のケアについて

矯正中のケアやメンテナンスをしてくれるのか、それとも他の歯科に行く必要があるのかどうか確認しておくとよいでしょう。

3.歯の状態に合わせた矯正歯科を選ぶ

噛み合わせがひどく悪い

出っ歯や受け口が極端な方は、外科的な矯正治療も行っている矯正歯科に通うのがおすすめ。噛み合わせによっては保険適用になる場合もあるので確認してから治療を始めましょう。

歯周病が進行している

歯周病に詳しい一般の歯科医で矯正するのがよいでしょう。歯茎の状態により、矯正を終えたあとに抜歯しなければならなくなる場合があります。そうならないためには歯茎の状態をつねにチェックしながら、慎重に歯を動かさなければなりません。矯正専門よりも歯周病治療をしっかり行っている矯正歯科がおすすめです。

歯周病の程度が軽い

歯周病が進行しないように定期的なメンテナンスは必要ですが、一般の矯正歯科で問題ありません。

4.大人が歯列矯正すると起こりやすいトラブル

歯周病の悪化

歯周ポケットの深い歯を気づかずに動かすと、歯周病が進行して最悪の場合は抜歯しなければならなくなります。3次元CTで歯周病の進行具合をチェックしながら治療をすすめる必要があります。

被せものが外れる

虫歯の治療をしたあとの被せもの(クラウン)が外れると、歯が動かせなくなることがあります。矯正治療がしやすいように仮のクラウンを使って治療することになります。

歯茎が下がる

歯の周囲に骨がなかったり、歯の位置が極端にずれている場合、矯正することによって歯茎が下がってしまうことが。改善するには矯正前・もしくは後に歯茎の移植が必要です。

最後に

大人になってからの歯列矯正は、歯並びを改善して見た目の印象を変えることはもちろん、矯正することによって歯や歯茎を健康にすることをめざすものです。せっかく矯正した歯を抜歯しなければならないという事態は起きてはいけません。これから通う矯正歯科を選ぶにあたって、歯周病の進行具合についても調べてもらうとよいでしょう。

成人女性に人気! マウスピース矯正って?

歯列矯正をしたいけれど、歯にワイヤーなどの金属がついているのを他人に見られたくないという方もいらっしゃることと思います。実は歯に金属の装置を着けなくても矯正治療ができるのです。その名も「マウスピース矯正」。専用のマウスピースを歯にはめることで、少しずつ歯並びを矯正します。透明なので見た目には気づかれにくく、おもに女性の人気が高まっています。今回はそのマウスピース矯正について、他の矯正治療法と比較しながら詳しくお伝えします。

1.マウスピース矯正はどんな人に向いているのか

矯正装置を歯につけていることに気づかれたくない方

透明なマウスピースを使って治療をすすめるので、笑ったときに歯が覗いてもほとんど気づかれることがありません。見た目には大きな変化がなく歯並びを矯正することができますので、接客業など人と対面する仕事の方でも安心です。

激しいスポーツや吹奏楽をする方

歯に金属の装置がついていると、激しいスポーツをするときに口の中が切れてしまうこともあるようですが、マウスピース矯正ならその心配はありません。自分で取り外しできるので、運動の間だけスポーツ用のマウスピースに取り替えることも可能です。
また、吹奏楽をする人の中には演奏時に唇を動かす際に矯正装置が邪魔になる方もいますが、取り外しのきくマウスピースであれば安心です。

金属アレルギーの方

マウスピース矯正単体で行う場合は金属を一切用いないので、金属アレルギーの方でも安心して治療できます。ただし、マウスピースでは奥歯の噛み合わせまでは矯正できない場合があるので、奥歯に問題がある場合はその部分だけブラケットを装着する部分矯正の必要が出てくる可能性があります。金属アレルギーの方は歯科医とよく相談してください。

マウスピースを長い時間装着しても苦にならない方

自分で取り外しのきくのもマウスピース矯正の利点ですが、もちろん長い時間外したままでは歯並びは改善されません。1日あたり、少なくとも20時間は装着する必要があります。装着している時の違和感が嫌だったり、忘れたりして外したままにしていると本来の治療効果が得られなくなります。

2.マウスピース矯正に向かない方

ブラッシングが不十分な方・虫歯が多い方

唾液には糖分が原因の酸や細菌から歯を守ってくれる役割がありますが、マウスピースで歯を覆ってしまうと、唾液の流れがどうしても悪くなってしまい、虫歯の原因となってしまいます。マウスピースの装着前はしっかりと歯を磨くようにしないと、虫歯ができてしまうえば矯正治療が続けられなくなる場合があります。

矯正治療に抜歯を伴う方

抜歯をして矯正治療をする場合は、抜いた歯の分だけ歯を動かす必要がありますが、その場合はブラケットを使った治療の方がマウスピースよりも治療期間が短く済む場合があります。また奥歯の噛み合わせや歯列に大きな乱れのある方もマウスピース治療単体では行えない場合があります。問題のある箇所のみブラケットで部分矯正してからマウスピース矯正することもできますが、治療期間が長くなることは覚悟しておいたほうがよさそうです。

歯ぎしりをする方

歯ぎしりなど強い力を加えるとマウスピースが折れてしまうことがあります。特に奥歯は力を込めると60kgもの圧力がかかることがあります。歯ぎしりは噛みしめの癖が抜けない方はマウスピースをしばしば割ってしまう危険性がありますので、マウスピースでの矯正はおすすめできません。

発達途中のお子さん

マウスピース矯正はコンピュータが行うシュミレーション通りに歯を動かすので、矯正治療の間に顎の骨格が成長して歯列自体が変わってしまい、コンピュータが最初に設計したマウスピースでは合わなくなってしまうことがあります。マウスピース治療を行うなら高校生以上になってからがおすすめです。

マウスピースの装着時間を守れない方

上記の項目が当てはまらない方でも、マウスピースを装着している時間が短ければ矯正治療は成功しません。矯正して動かした歯は元の位置に戻ろうとする作用が働いています。マウスピースを外したままで過ごしていると歯並びが元に戻ってしまい、治療が余計に長引いたりマウスピースが使えなくなったりとよいことはありません。

3.マウスピース矯正のプロセス

カウンセリング

マウスピース矯正は歯並びを全体的に直すよりも、前歯だけや上の歯列だけなど気になる箇所だけを矯正するのに有効な手段です。矯正歯科ではまず患者さんが歯並びのどこを気にしているのかを聞き出し、またその箇所がマウスピースで治せるのかどうかや矯正治療のメリット・デメリットなどを説明します。

検査

その人の歯型を象った模型を作って噛み合わせを検証したり、レントゲンや顔写真の撮影などを行います。検査結果によって費用や期間が決まります。

シュミレーション

他の矯正治療法にはないプロセスです。理想的な歯列をコンピュータが想定し、その歯列に近づくために少しずつ形を変えたマウスピースが作成されていきます。作られたマウスピースを定期的に交換していくことで歯並びを整えていきます。

マウスピースの装着

担当医の指示に従ってマウスピースを使います。通院の頻度は個人差がありますが一ヶ月~三ヶ月程度。

保定

シュミレーション通りの歯並びになれば終了ではなく、その歯並びを定着させるためのリテーナーを装着します。リテーナーにはさまざまな種類があり使用していたマウスピースをそのまま使用することがあります。

4.かかる期間・費用

上下の歯列を矯正する

60万円〜80万円程度
期間3~8ヶ月

上下どちらかを矯正する

30万円〜40万円程度
期間12ヶ月程度

抜歯を伴うなど歯を大きく動かす矯正

100万〜120万円程度
期間2~3年

5.マウスピース以外の矯正治療

ブラケット矯正

矯正治療法の中では最もよく選ばれています。歯の表面にブラケットという装置を接着し、そこにワイヤーを通してきつく締めていくことで歯を移動させます。治療の精度が高く、歯を大きく移動させたり奥歯の噛み合わせなども治すことができます。銀色のものもありますが、近頃は目立たずに矯正治療ができる透明なブラケットが人気です。

舌側矯正

上記のブラケットを歯の裏に装着します。他人からは装置が見えないので気づかれずにに矯正治療をすすめることができますが、費用が通常のブラケット矯正よりも高いことと、装置が舌に触れる違和感が大きいのが難点です。

ハイブリット矯正

二つの異なる治療を組み合わせます。たとえば基本は目立たないマウスピースで矯正するけれど、マウスピースで直せない奥歯だけブラケットを使うなどです。両方の利点を得ることができる一方、費用も高額になります。

マウスピース治療には患者本人の努力が不可欠

マウスピースで矯正ができると聞くと他の治療よりも簡単なイメージを抱きがちですが、患者本人が取り外しできるというその特性から、他の矯正に比べるとどうしても本人のコントロールが重要になります。マウスピースをはめているとやはり違和感もありますが、面倒がってマウスピースを外したままにしていると本来の治療効果が得られません。マウスピースは矯正歯科の言いつけを守り、正しく使いたいですね。

 

マウスピース矯正のメリット・デメリット

「マウスピース矯正」は専用のマウスピースを日常的に装着することで少しずつ歯並びを動かしていく治療法です。他の矯正治療法を比べると楽そうなイメージのあるマウスピース矯正ですが、実は隠れたデメリットがありますので、対処法と一緒にお伝えします。

1.近ごろ人気のマウスピース矯正

使用するマウスピースは理想の歯並びに少しずづ近づけるようにコンピュータで設計されており、それを順番通りに使うことによって歯並びが改善されていきます。
マウスピースは透明色をしているのではめていても目立ちません。一般的なブラケット矯正は見てすぐにわかりますが、マウスピースはほとんど気づかれずに矯正を進めることができますので、社会人の方に人気です。

2.マウスピース矯正のメリット

①目立たない

マウスピース矯正の最大といっていいメリットは、周囲に気づかれずに歯並びを改善できることです。矯正をためらっている人の多くが装置を着けているときのルックスを気にしています。マウスピース矯正単独で行う場合はワイヤーもブラケットも用いませんので、口を開けて笑ったときにも矯正治療中であることをほぼ気づかれずに済みます。ですので仕事で接客などをする方には喜ばれています。

②食事の邪魔にならない

マウスピース矯正はもちろん自分で装着しますので、必要な時にいつでも外すこともできてしまいます。通常のブラケット矯正ですと固いものや噛み切りにくいもの(ガムやお餅)を噛むと外れてしまうおそれがありますが、マウスピース矯正なら外してさえいれば何でも好きなものを食べることができます。

③歯磨きの邪魔にならない

ブラケット矯正ではどうしても装置の周囲が複雑になってしまいます。そこに食べかすがからまったり、磨き残しが多くなったりしてどうしても歯磨きに時間がかかります。マウスピースなら歯磨きのときに外すことができるので、デンタルフロスも楽にできますよ。

④セラミックが入っていてもOK

ブラケットを用いた歯列矯正をはじめる場合、セラミックを外して仮歯にするか穴を開ける必要が出てきますが、マウスピース矯正ならセラミックごと歯を動かすことになるので、セラミックが傷つく心配がありません。ただし矯正によって歯茎の位置がずれる場合は、矯正を終えたあとにセラミックをし直す必要があります。

⑤金属アレルギーでも大丈夫

使用するマウスピースはプラスチック製ですし、通常の矯正治療で使用するブラケットやワイヤーなどの金属も用いません。そのため金属アレルギーの方でも安心して治療ができます。

3.マウスピース矯正のデメリット

①装着を忘れると治療効果が薄れる

マウスピースの取り外しは自分で行いますが、指定された時間(おおむね1日20時間程度)は装着していないと、せっかく動かした歯が少しずつ元に戻っていってしまうのです。そうなると思うような治療効果が出なかったり、治療期間が余計に伸びてしまうことも考えられます。早く歯並びを直したいのなら、決められた装着時間を守るのが一番です。

②奥歯の噛み合わせはまでは対応できないケースが

マウスピース矯正の難点は奥歯の噛み合わせを改善したいなど、歯を大きく動かす治療には不向きなこと。噛み合わせに不安がある方は奥歯だけ部分矯正するか、他の治療法を検討する必要があります。

③マウスピースが割れることがある

就寝中にもマウスピースを装着します。矯正用のマウスピースは薄く、歯ぎしりなど強い力が加わると割れてしまいます。対処法として、日中に噛み締めないように意識しておくことで筋肉がそれを覚えてくれるので、眠っているあいだの歯ぎしりを抑えることができます。それでもマウスピースを何度も割ってしまうようであれば、マウスピース矯正自体が向いていない可能性があります。他の治療法も視野に入れましょう。

④虫歯になりやすい

1日あたり20時間ものあいだ歯の全体をマウスピースで覆うので、当然ながら唾液の流れは悪くなります。口の中の細菌や、細菌の出す酸から歯を守るのが唾液です。唾液の流れが滞ると歯の石灰化が起こりにくくなり、結果、虫歯のリスクが高まるのです。食事の後の歯磨きは念入りに、デンタルフロスも欠かさないことが大事です。フッ素ジェルやフッ素入りのデンタルリンスを使ってもよいでしょう。虫歯になりやすい方はマウスピースの裏側、歯に触れる部分にフッ素ジェルを塗っておくとより効果的ですよ。

まとめ

歯並びや噛み合わせのことを考えれば、確実なのはブラケット矯正です。それでも、笑ったときに目立たなかったり、食事のときに取り外しできるマウスピース矯正を望む方もいます。それぞれのメリットとデメリットをよく理解してから、矯正歯科医と今後の治療方針を検討してください。

矯正治療の山場!リテーナーについて

矯正治療を終えた後、「リテーナー」と呼ばれる装置をつけている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
リテーナーの装着はいわば歯列矯正の「山場」。矯正装置を外したあとの歯は元の位置に戻ろうと強い力が働いていますので、わずかな間リテーナーを外していただけで動いてしまうことも。矯正治療を終えたあとのきれいな歯並びを保つために重要なリテーナーについて、今回は詳しくお伝えしていきます。

1.リテーナーの役割

歯が元の位置に戻るのを防ぐ

リテーナーは別名保定装置といいます。外見はきれいな歯並びになっていても、矯正治療後すぐの期間は歯槽骨(歯を支えている骨)や歯の周囲の歯根膜にはまだ歪みが残っているため、元の位置に戻ろうとする作用が強く働いています。その作用を抑えるのがリテーナーの最大の役割です。

矯正装置の装着期間を短くするため

仮にリテーナーを使わずに上記の「作用」を安定させようとする場合、また同じ期間だけ矯正装置を着ける必要があります。矯正装置を着けているあいだはどうしても虫歯のリスクが高まってしまいますが、取り外しのできるリテーナーなら歯磨きもしやすいので虫歯のリスクは低下します。

噛み合せを安定させるため

矯正を終えても、矯正前の歯並びでの噛み癖は残っています。リテーナーは矯正装置に比べて少し緩みがありますので、より細かく歯を移動させることができ、噛み合せしやすい歯並びに整えてくれるのです。

2.リテーナーの注意点

常に装着しているのが前提

リテーナーをわずか二、三時間のあいだ外していただけでも、はめ直してみたらきつくなっているということも珍しくありません。それだけ歯が動いているということですね。歯が元の位置に戻ろうとする作用を抑えるために、リテーナーはときどき着けるというのではなく、常に装着していることが前提です。
ただし食事や歯磨きなど、邪魔になるときには外して行います。自分で着脱できるのはリテーナーの便利なところ。矯正装置を着けていたときは食べられなかったものも食べられますし、歯磨きもしやすくなります。ただしそのまま装着するのを忘れないようにしましょう。

手入れを欠かさないこと

つねに口内に装着しているリテーナーには汚れがたまりやすく、不潔なままにするとカビが生えてしまったり、リテーナーに付着した細菌が虫歯の原因になることもあります。また口臭の原因にもなりかねません。歯磨きをするときにはリテーナーも一緒に手入れしましょう。ただし、リテーナーはキズがつきやすいので研磨剤の入った歯磨き粉や、硬い歯ブラシなどを使うのはおすすめできません。
専用の洗浄剤を使うようにしましょう。

装着しているあいだは話しにくい

リテーナーのプラスチック部分が舌に触れるため、装着してすぐの慣れないあいだは発音がしにくいと感じることがあります。十日も経てば慣れてくることがほとんどですが、仕事など重要な局面では短時間であれば外してもかまいません。

装着しながら飲食をしない

リテーナーを装着しながらものを食べると、噛んだときにプラスチック部分が割れてしまうことがありますので、必ず外してから食べるようにしてください。飲み物は水やお茶ならかまいませんが、糖分の入った飲み物は厳禁です。リテーナーと歯の隙間に糖分が入ると歯を溶かしてしまい、虫歯の原因になります。

装着するときに噛んで押し込まない

リテーナーを装着するときにずれていたり、浮いていたりすることがあります。これを慣れてくると歯で噛んで押し込んだりする方がいますが、リテーナーのプラスチック部分が割れたりワイヤーが曲がる原因になるのでおすすめできません。最後まで手で装着してください。

外したリテーナーはケースにしまうこと

リテーナーを放置していて家族が間違って捨ててしまった例もあります。踏んだり落としたりするともちろん故障の原因になりますので、紛失を防ぐ意味で専用ケースにしまう習慣をつけておくのがベターです。

3.どのくらいの期間、リテーナーをつけるの?

はじめは24時間つねに装着する

矯正装置を外したてのときは一番歯が元の位置に戻りやすい時期です。食事などでリテーナーを外したあと、再び装着するときつく感じるときがありますが、これはそれだけ歯が動いた証拠。あまり長い間外していると、リテーナーが入らなくなってしまうことも。こうなるとリテーナーを作り直さなければいけなくなったり、歯の動きが大きい場合はまた矯正装置を装着しなければならなくなったりして余計な時間と費用を割くはめになってしまいます。

1年半が過ぎた頃から夜間の装着に

リテーナーを装着してからおよそ一年半が過ぎるとかみ合わせが安定してくるといわれています。このころから徐々にリテーナーを外す時間を作り、リテーナーをはめ直したときにきつくなければその時間を少しずつ延ばします。そうして徐々に夜間のみの使用に切り替えていきます。

噛み合わせが定着したら二日に一度の夜間装着

夜間装着を一年半程度続けると噛み合わせが安定してきますので、二日に一度、三日に一度と少しずつ頻度を落としていきます。最終的にどの時点でリテーナーの使用を完全に中止するかは個人差がありますが、必ず担当の歯科医と相談して決めます。

リテーナーの種類

床型

取り外しができて、噛み合わせが安定しやすいです。ホーレータイプ、ベッグタイプとも呼ばれます。

マウスピース型

床型が使えない方などが使用します。マウスピース矯正で使用したマウスピースをそのままリテーナーとすることも。噛み合わせの調整はできないので、噛み合わせに問題がある方は別の方法がおすすめです。

ワイヤー式

接着剤で歯の裏側で固定するタイプなので、取り外しがききません。虫歯のリスクを抑えるために丁寧な歯磨きと定期的なクリーニングを受けることが大切です。装着期間は少なくとも二年で、歯列が後戻りしにくいのが利点です。

リテーナーがはまらなくなった! こんな時はどうしたらいいの?

リテーナーを長時間外していたせいで歯が動いてしまった結果、それまで使っていたリテーナーがはまらなくなってしまうことがあります。そんな時はすぐに担当医に相談してください。新しいリテーナーを作るか、再び矯正装置を着けるかを歯の動き具合などで判断します。いずれにしても別に料金がかかることは覚悟しておいたほうがよさそうです。

まとめ

矯正装置を外しても治療は終わりません。むしろそこからの、リテーナーを装着している時期こそが重要といえます。おそろしいのは、整えた歯並びを保てるか、元に戻してしまうかは本人のリテーナーの使い方によって大きな差がでてしまうというところ。きれいな歯を保てるように、 矯正歯科での言いつけをきちんと守りってリテーナーを使いましょう。

あなたの歯、小さくない? 矮小歯が引き起こすリスク

ずらりと並んだ歯の中に一本だけ小さい歯があったりしませんか?実はそれ、矮小歯(わいしょうし)かもしれません。

1.矮小歯とは

極端に小さい歯のこと。原因は不明ですが、一部の歯だけではなく、全体的に小さい方はビタミンDの欠乏や下垂体の機能低下などが疑われます。
矮小歯はおもに前歯に見られますので、見た目の側面から気にしている人もいるようです。

2.矮小歯が引き起こすリスク

噛み合わせや歯並びの異常

大きすぎる歯はしばしば噛み合わせや歯並びの異常を引き起こしますが、歯が極端に小さい場合も同じことが起きます。

すきっ歯

ひとつだけ小さい歯があると、どうしても隣の歯とのあいだにすき間ができてしまいます。いわゆるすきっ歯ですね。前歯すきっ歯になると見た目の印象も変わってくるので、悩んでいる方がいるようです。

ブリッジをすると歯がだめになりやすい

矮小歯は大きさが乏しく、また歯の根が短かったりしますので、ブリッジの土台にすると歯が割れてしまったり、ぐらぐらと揺れてくることがあります。

3.矮小歯を改善するには

歯列矯正する

矯正治療で歯を動かして、歯と歯のあいだの不要なすき間を埋めていきます。矮小歯自体はそのままですが、見た目や歯並びの問題が改善されます。

セラミック修復

矮小歯にセラミックを貼り付けることで歯の体積を増やすことができます(ラミネートベニア)。他には歯にセラミックの被せ物をする方法などがあります。

レジン修復

虫歯の穴を埋めるときに使う白い樹脂(レジン)を矮小歯につけてその小ささをカバーします。一度で終わるので楽ではありますが、レジンには変色や割れなど経年劣化も起きます。

最後に

矯正治療と修復治療を組み合わせるのも矮小歯の改善には有効です。矮小歯は見た目の側面でいえば奇形ではありますが、機能面では問題ない場合がありますので、その場合は他の歯と同じように手入れしてください。矮小歯は珍しいケースではありません。悩みを抱えているのであれば歯科医に相談してみましょう。