成人女性に人気! マウスピース矯正って?

歯列矯正をしたいけれど、歯にワイヤーなどの金属がついているのを他人に見られたくないという方もいらっしゃることと思います。実は歯に金属の装置を着けなくても矯正治療ができるのです。その名も「マウスピース矯正」。専用のマウスピースを歯にはめることで、少しずつ歯並びを矯正します。透明なので見た目には気づかれにくく、おもに女性の人気が高まっています。今回はそのマウスピース矯正について、他の矯正治療法と比較しながら詳しくお伝えします。

1.マウスピース矯正はどんな人に向いているのか

矯正装置を歯につけていることに気づかれたくない方

透明なマウスピースを使って治療をすすめるので、笑ったときに歯が覗いてもほとんど気づかれることがありません。見た目には大きな変化がなく歯並びを矯正することができますので、接客業など人と対面する仕事の方でも安心です。

激しいスポーツや吹奏楽をする方

歯に金属の装置がついていると、激しいスポーツをするときに口の中が切れてしまうこともあるようですが、マウスピース矯正ならその心配はありません。自分で取り外しできるので、運動の間だけスポーツ用のマウスピースに取り替えることも可能です。
また、吹奏楽をする人の中には演奏時に唇を動かす際に矯正装置が邪魔になる方もいますが、取り外しのきくマウスピースであれば安心です。

金属アレルギーの方

マウスピース矯正単体で行う場合は金属を一切用いないので、金属アレルギーの方でも安心して治療できます。ただし、マウスピースでは奥歯の噛み合わせまでは矯正できない場合があるので、奥歯に問題がある場合はその部分だけブラケットを装着する部分矯正の必要が出てくる可能性があります。金属アレルギーの方は歯科医とよく相談してください。

マウスピースを長い時間装着しても苦にならない方

自分で取り外しのきくのもマウスピース矯正の利点ですが、もちろん長い時間外したままでは歯並びは改善されません。1日あたり、少なくとも20時間は装着する必要があります。装着している時の違和感が嫌だったり、忘れたりして外したままにしていると本来の治療効果が得られなくなります。

2.マウスピース矯正に向かない方

ブラッシングが不十分な方・虫歯が多い方

唾液には糖分が原因の酸や細菌から歯を守ってくれる役割がありますが、マウスピースで歯を覆ってしまうと、唾液の流れがどうしても悪くなってしまい、虫歯の原因となってしまいます。マウスピースの装着前はしっかりと歯を磨くようにしないと、虫歯ができてしまうえば矯正治療が続けられなくなる場合があります。

矯正治療に抜歯を伴う方

抜歯をして矯正治療をする場合は、抜いた歯の分だけ歯を動かす必要がありますが、その場合はブラケットを使った治療の方がマウスピースよりも治療期間が短く済む場合があります。また奥歯の噛み合わせや歯列に大きな乱れのある方もマウスピース治療単体では行えない場合があります。問題のある箇所のみブラケットで部分矯正してからマウスピース矯正することもできますが、治療期間が長くなることは覚悟しておいたほうがよさそうです。

歯ぎしりをする方

歯ぎしりなど強い力を加えるとマウスピースが折れてしまうことがあります。特に奥歯は力を込めると60kgもの圧力がかかることがあります。歯ぎしりは噛みしめの癖が抜けない方はマウスピースをしばしば割ってしまう危険性がありますので、マウスピースでの矯正はおすすめできません。

発達途中のお子さん

マウスピース矯正はコンピュータが行うシュミレーション通りに歯を動かすので、矯正治療の間に顎の骨格が成長して歯列自体が変わってしまい、コンピュータが最初に設計したマウスピースでは合わなくなってしまうことがあります。マウスピース治療を行うなら高校生以上になってからがおすすめです。

マウスピースの装着時間を守れない方

上記の項目が当てはまらない方でも、マウスピースを装着している時間が短ければ矯正治療は成功しません。矯正して動かした歯は元の位置に戻ろうとする作用が働いています。マウスピースを外したままで過ごしていると歯並びが元に戻ってしまい、治療が余計に長引いたりマウスピースが使えなくなったりとよいことはありません。

3.マウスピース矯正のプロセス

カウンセリング

マウスピース矯正は歯並びを全体的に直すよりも、前歯だけや上の歯列だけなど気になる箇所だけを矯正するのに有効な手段です。矯正歯科ではまず患者さんが歯並びのどこを気にしているのかを聞き出し、またその箇所がマウスピースで治せるのかどうかや矯正治療のメリット・デメリットなどを説明します。

検査

その人の歯型を象った模型を作って噛み合わせを検証したり、レントゲンや顔写真の撮影などを行います。検査結果によって費用や期間が決まります。

シュミレーション

他の矯正治療法にはないプロセスです。理想的な歯列をコンピュータが想定し、その歯列に近づくために少しずつ形を変えたマウスピースが作成されていきます。作られたマウスピースを定期的に交換していくことで歯並びを整えていきます。

マウスピースの装着

担当医の指示に従ってマウスピースを使います。通院の頻度は個人差がありますが一ヶ月~三ヶ月程度。

保定

シュミレーション通りの歯並びになれば終了ではなく、その歯並びを定着させるためのリテーナーを装着します。リテーナーにはさまざまな種類があり使用していたマウスピースをそのまま使用することがあります。

4.かかる期間・費用

上下の歯列を矯正する

60万円〜80万円程度
期間3~8ヶ月

上下どちらかを矯正する

30万円〜40万円程度
期間12ヶ月程度

抜歯を伴うなど歯を大きく動かす矯正

100万〜120万円程度
期間2~3年

5.マウスピース以外の矯正治療

ブラケット矯正

矯正治療法の中では最もよく選ばれています。歯の表面にブラケットという装置を接着し、そこにワイヤーを通してきつく締めていくことで歯を移動させます。治療の精度が高く、歯を大きく移動させたり奥歯の噛み合わせなども治すことができます。銀色のものもありますが、近頃は目立たずに矯正治療ができる透明なブラケットが人気です。

舌側矯正

上記のブラケットを歯の裏に装着します。他人からは装置が見えないので気づかれずにに矯正治療をすすめることができますが、費用が通常のブラケット矯正よりも高いことと、装置が舌に触れる違和感が大きいのが難点です。

ハイブリット矯正

二つの異なる治療を組み合わせます。たとえば基本は目立たないマウスピースで矯正するけれど、マウスピースで直せない奥歯だけブラケットを使うなどです。両方の利点を得ることができる一方、費用も高額になります。

マウスピース治療には患者本人の努力が不可欠

マウスピースで矯正ができると聞くと他の治療よりも簡単なイメージを抱きがちですが、患者本人が取り外しできるというその特性から、他の矯正に比べるとどうしても本人のコントロールが重要になります。マウスピースをはめているとやはり違和感もありますが、面倒がってマウスピースを外したままにしていると本来の治療効果が得られません。マウスピースは矯正歯科の言いつけを守り、正しく使いたいですね。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です